天風会の創設者で有名な中村天風氏は運命には二つの種類があると説かれます。
運命は、天命と宿命と二つ
●天命:絶対的な運命で人間の力ではどうすることもできないもの
●宿命:相対的な運命で、人間の力で打ち開いていくことができるもの
そして天風氏は運命には二種類あるにも関わらず、私たちは二つを混同させて、すべてが運命であると思い込んで諦めていると言われています。何か事業などを発展させようと努力して思うようにならないと、それも運命だと諦めてしまいます。また病気にかかってなかなか治らないとそれも運命だと思ってしまう傾向がありますね。
天風氏は「人間の力では、どうしようもない運命というものは、たくさんあるものではない」と言われます。たしかにどうにもならない運命などは、かなり少ないかもしれません。どうすることもできない絶対的な天命は、自分が選択することができないものです。たとえば男女の性別や生まれる時代、生まれる親、生活環境などは、自ら望んでもどうすることもできません。また生があり、死があるということも、それは天命でしょう。
天風氏は「医者にかかっても、治らない病気は治らない。寿命が尽きた時の病は、どんな名医が来ても治りはしない。しかし、それまでは、その度に死にはしないから安心しなさい」とも言われています。そんな天命には従うしかないでしょうが、それが宿命であれば人間の力で打ち開いていくことができる。つまり運命を変えられると言われます。
また天風氏は「自分の心を、積極的にして活きるという方に自分の心を決定しなさい。そうすれば運命は変えられる。天命なんてものは、極めてわずかしかない」と言われています。つまり心を積極的にして、常に前向きに生きるよう自分の心を導いていくことを、天風氏は勧めています。
今の人の多くは、ある程度努力して、その努力が実らないと「やっぱり駄目だった。自分には無理だったんだ」「私には才能がないんだ」「やはり現実は厳しいからね」そして「そういう運命だったんだ」と思い、自分を納得させようとします。でもそれが天風氏の言われる天命ならしかたないとして、宿命なら自分の心次第で乗り越えられます。自分も運命は、自分の考え方次第で、いくらでも変えることができると思います。自分の心の持ち方、考え方を変えていけば、自ずと生き様も変わり、ひいては未来、運命までもが変わるようになると思います。私たち人間には無限の可能性があるのですから、不可能はありません。天命でない限りは、私たちも積極的思考でそれらを乗り越え、運命を変えていこうではありませんか！ さぁ諦めないで、自分の運命を変えていきましょう！
中村天風氏のご紹介
中村天風氏は重い病魔と闘い、病気の治療法を求めてアメリカ、イギリス、フランスなどで医学や心理学、哲学を学ばれました。ところが、天風氏の求めるものはそこにはなく、病気が悪化して死を覚悟されます。そんなときにエジプトで出会ったのが、ヨガの聖者であるカリアッパ師です。天風氏はカリアッパ師に導かれてヒマラヤ山中で修業を二年数カ月され、人間は宇宙・自然の原理と法則に包まれている存在であるということを悟られ病気を完全に克服されます。
宇宙と人間の真理を悟った天風氏は、その真理を一人でも多くの人に伝えたいと「天風会」を創設されて、全国的に講演会を展開され実践されました。その教えは、宇宙や自然のすべてが「積極的な気」で満ちている、その「気」を自覚して私たちの中にある「積極的な気」、すなわり進歩と向上を常に求め、病気や煩悩などといった消極的な心を一掃するというものです。